去年の年末に俺の体に異変が起こった!
体が痒い!
皮膚が意外とデリケート(外見からは想像しがたいかもしれないが)ではあるが初めての経験だった。
以前は脂っこいものが好きだったから吹き出物君が結構出たりしたけど、今回はそんな類のもんじゃなかった。
体の体表をもう一枚上に覆われたような感覚。
掻いてもその内部が痒いみたいな。
掻きむしると変な汁まで出てくる始末さ。
上半身全部と下半身は特に内腿。
オマタの付け根まで大変なことに!!
これは一体何の試練だ?!
何かの病気か?
しかしこの案件はデリケートな部分の異変の為、後ろめたいことがなにもないのに、最愛の妻への「ホウレンソウ」を怠っていた。
「ホウレンソウ」とはもちろん「報告、連絡、相談」だ。
しかしある日更なる悲劇が俺を襲った!
デリケートゾーンの変な汁が異臭を放ち始めたのだ。
痒みも相変わらず続く。
異臭の破壊力が俺の鉄の意思を粉々に砕いた。
ここで初めて妻に報告。
この間2週間。
「なんかのアレルギー症状っぽいね」ってことで嫌々皮膚科のお世話になることに。
案の上医者は、
「はい。アレルギーですね。じゃあ薬出しておきますね~。」だ。
俺は一刻も早く、股間をもじもじさせている気持ち中性的な自分から、堂々と風を切って歩く男の中の男であるところの自分に戻りたかった。
切実だった。
俺は勇気をふりしぼって恥ずかしながら小さな声で、しかしはっきりと言った。
「オマ、オマタが痒いんです。」
「へ、変な病気じゃないか調べてもらえませんか?」
俺は大胆にそれでいて鮮やかに下着を降ろした。
完璧なその所作に無駄はなかった。
が、
間髪入れずに医者が言った。
「あっ!別に脱がなくても調べられま「脱ぎ損じゃねぇかよ!!」
俺は心の中で若干食い気味で叫びながら、患部の皮膚を顕微鏡で調べる医師の返事を待った。
「細菌でもカビでもないですね。」
「何かのアレルギー症状ですね。」
その何かには一切触れることなく医者は話を終えた。
事件発生から2週間と1日、俺はその「何か」を探す旅に出た。
2週間前に急に発生した痒み。
どうもその辺が怪しいぞ。
俺は2週間前の自分の行動に普段とは違った「何か」がなかったか思いを馳せた。
ここで俺はあることに気付いた。
「原因は悪いと思われるものではなく良いと思われるものだったんじゃないか?」
「あ。」
俺は浴室に急いだ。
発想の転換で俺はついにその「何か」を探し当てた。
俺はそいつを荒々しく手に取り、握りしめながら大声で叫んだ。
「犯人はお前だ~!!!!!!!!」
俺の手の中で田中邦衛ばりに顔を歪めたヨモギ石鹸が黙って頷いた。
それから2週間後、そこには全裸で堂々と歩きまわる自信に満ち溢れた俺の姿があった。
そう。あれから俺は石鹸をいつもの無添加石鹸に戻したのだった。
妻が肌にイイと言って買ってきて使っていたヨモギ石鹸。
確かに妻には良かった。
しかしそれが俺にもイイとは限らない。
俺は思う。
誰もが良いと思えるものなんて無い。
世間でいう良いものが自分にフィットするとは限らない。
じゃあ自分に合うものを選べばいい。
価値基準なんてそんなもんだ。
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